腎臓病でタンパク質を制限すると、カロリーが不足しがちになります。するとからだは筋肉を燃やしてエネルギーを作るようになり、どんどん痩せていきます。これは「腎臓に優しくしようとして、体全体を壊してしまう」悪循環です。
さらに、食欲不振・吐き気・口の中の不快感(尿毒症の初期症状)が食事量を減らしてしまうことも多いです。体重減少を放っておくと、腎機能低下が加速します。まず主治医に「体重が減っている」と必ず伝えてください。
痩せを止めるには、まずカロリー不足を解消することです。タンパク質・カリウム・リンを含まないカロリー源を積極的に使います。
白飯・うどん・春雨・くずきり・ビーフン・タピオカ・くず湯・片栗粉のとろみ
→ タンパク質・カリウム・リンが少なく、安心してカロリーを稼げる
オリーブオイル・サラダ油・バター(少量)・マヨネーズ(少量)
→ 大さじ1杯で約110kcal。料理に加えるだけで簡単にカロリーアップ
お茶・料理・パンに加える。砂糖大さじ1杯=約35kcal
→ タンパク・カリウム・リンをほぼ含まない純粋なエネルギー源
低タンパク米・低タンパクパン・低タンパク麺・でんぷんパン
→ 普通のご飯よりタンパク質が1/3〜1/10。腎臓専門医に相談すると処方してもらえる場合あり
市販品例:げんたくん・たんぱくグルメ・低たんぱくごはん(各社)
「腎臓が悪いからタンパク質をできるだけゼロに近づけよう」と思いがちですが、それは間違いです。タンパク質が極端に不足すると筋肉が落ち、免疫が低下し、心臓も弱ります。GFR30前後なら「減らしすぎず、質を選ぶ」が正解です。
必須アミノ酸がすべて揃った最高効率のタンパク源。腎臓の負担(窒素廃棄物)が少ない。卵白はリンが少なくさらに優秀。
たら・かれい・ひらめ・鮭は比較的リンが少なめ。茹でるか蒸すとリンが更に減る。揚げ物より煮魚・焼き魚が◎
脂が少なく心臓にも優しい。茹でて茹で汁を捨てるとカリウム・リンが減る。皮は外すとなお良い。
牛乳よりリンが少ない。絹ごし豆腐は木綿より柔らかく食べやすい。食欲がないときでもするっと食べられる。
GFR30前後では吐き気・口の渋み・食欲低下が起きやすいです。無理に食べようとせず、食べられるものを少量ずつ続けることが大切です。
- 1日3食にこだわらない。5〜6回に分けて少しずつ食べる
- 冷たい食べ物の方が匂いが少なく吐き気を感じにくい(冷ご飯・冷ゼリー・冷豆腐)
- 酸っぱいもの(レモン水・梅干し少量)で口をリセットしてから食べる
- 柔らかい食品:おかゆ・茶碗蒸し・プリン・ゼリー・くず湯・アイス(少量)
- 経口栄養補助食品(エンシュア・メイバランスなど)は腎臓病用を選ぶ。必ず医師か栄養士に相談を
- 食べた記録をつける:何が食べられたかを記録しておくと、次の受診で医師・栄養士に正確に伝えられる
一般の栄養ドリンク・プロテインは腎臓病の方には危険(カリウム・リンが多い)です。腎臓病専用の製品があります。
腎臓病専用の高カロリー飲料。低タンパク・低カリウム・低リン。病院や薬局で購入可能。1本200kcal前後でコンパクト。
同様に腎臓病専用。医師や管理栄養士に「体重が落ちている」と伝えると処方・紹介してもらえることが多い。
※ これらも腎臓の状態によって使えないものがあります。必ず主治医・栄養士に確認してから使用を。
GFR30前後で体重が減っているのは、食事の内容を個人で調整するには限界がある状況です。腎臓専門の管理栄養士による個別指導を強く勧めます。
- 「栄養指導をお願いしたい」と主治医に伝えれば紹介してもらえる
- 腎臓専門の栄養士は、体重・検査値・食事記録を見ながらその人だけの食事プランを作ってくれる
- 栄養指導は保険適用(3割負担で数百円)で受けられることが多い
- 「何を食べていいか分からなくて食べられない」という状況を、まず医師・栄養士に打ち明けることが大切
- いつ頃から・どのくらい体重が減ったか
- 1日どのくらい食べられているか
- 吐き気・食欲不振・口の渋みはあるか
- 栄養指導を受けたいと希望している
減塩しょうゆは塩化ナトリウムの代わりに塩化カリウムが使われています。塩分は少なくなりますが、カリウムが通常の醤油より多くなります。腎臓病の方には逆効果になることがあります。
健康な人にはもちろん野菜は大切ですが、腎臓病の方が生野菜を大量に食べるとカリウム過多で命に関わることがあります。「野菜だから安心」ではなく、必ず茹でこぼしてから食べるようにしましょう。
青汁・酵素ドリンク・スムージー・野菜粉末などはカリウムが凝縮されており、腎臓病の方には危険です。また、コエンザイムQ10・マグネシウムサプリなどはリンを含むものも。サプリは必ず医師に相談してから使用してください。
グレープフルーツは心臓病・腎臓病の薬(カルシウム拮抗薬・免疫抑制剤など)の効き方を大幅に変えてしまいます。飲み合わせが悪い薬を服用中の方は主治医に確認してください。
「天然塩」「ミネラル豊富な塩」はカリウム・マグネシウムを多く含みます。腎臓病の方は普通の食塩(塩化ナトリウム)の方が安全な場合があります。必ず医師に確認を。
心臓病では心臓への負担を減らすことが最優先です。塩分が多いと血圧が上がり心臓が頑張りすぎてしまいます。脂質の摂り方を見直すことで、動脈硬化の進行を遅らせることができます。
漬物・梅干し・塩辛・ぬか漬け・インスタントラーメン・カップ麺・ファストフード・外食全般・醤油・ソース・ウスターソース・みそ汁・塩鮭・明太子・たらこ
→ インスタントラーメン1食で塩分5〜7g。1日の許容量をほぼ使い切ってしまいます
バター・ラード・牛脂・霜降り肉・ベーコン・ソーセージ・生クリーム・マーガリン・ショートニング・マヨネーズ(大量は×)
→ 悪玉コレステロール(LDL)を増やし、動脈が詰まりやすくなります
卵黄(1日1個まで)・レバー・いくら・たらこ・うに・イカ・エビ(食べすぎ注意)
→ コレステロールは体に必要ですが、過剰摂取は血管壁に溜まります
菓子パン・ケーキ・和菓子(食べすぎ)・清涼飲料水・砂糖入りコーヒー・ジュース・揚げ物・ファストフード
→ 肥満は心臓への最大の負担。適正体重の維持が最重要です
飲酒は心臓の筋肉を直接傷め、不整脈や心筋症の原因になります。主治医に「飲んでいいか」を必ず確認してください。
さば・さんま・いわし・あじ・まぐろ(赤身)・鮭
→ DHA・EPAが血液をサラサラにし、中性脂肪を下げます。週3回以上がおすすめ
ブロッコリー・ほうれん草・玉ねぎ・しいたけ・わかめ・ひじき・こんにゃく・ごぼう・にんじん
→ 食物繊維が悪玉コレステロールを体外に排出。毎食1品以上を目標に
オリーブオイル・えごま油・アマニ油・アボカド・くるみ・アーモンド(少量)
→ バター・マーガリンの代わりにオリーブオイルを使う習慣が心臓に優しい
豆腐・納豆・豆乳・おから・枝豆・厚揚げ
→ 植物性タンパクは動物性より心臓への負担が少ない。肉の代わりにどうぞ
りんご・みかん・いちご・キウイ・ブルーベリー
→ ポリフェノール・ビタミンCが血管を守る。ただし食べすぎは糖質過多に注意
- 塩分は1日6g未満(重症なら3〜4g)を目標に
- 1食のみそ汁は具だくさんにして汁を半分残す
- 醤油は「かける」ではなく「つける」に変えるだけで半分以下に
- 肉は週2〜3回。魚を増やすことが心臓に一番よい
- 体重を毎朝同じ時間に計り、急激な増加(2〜3日で2kg以上)は受診
腎臓の働きが落ちると、本来なら尿として排出されるはずのカリウム・リン・老廃物・余分な水分が体に溜まります。溜まりすぎると心臓が止まったり、骨が脆くなったりする危険があります。食事管理は薬と同じくらい大切な治療です。
カリウムが血液中に溜まりすぎると心停止の危険があります。腎臓病で最も注意が必要な栄養素です。
バナナ・メロン・スイカ・アボカド・ドライフルーツ(干し柿・レーズン・プルーン)・じゃがいも・さつまいも・里芋・ほうれん草(生)・枝豆・ナッツ類・コーヒー・野菜ジュース・トマトジュース
⚠️ ドライフルーツは水分が抜けてカリウムが凝縮されています。少量でも要注意!
りんご・なし・もも・ぶどう・みかん・すいか(少量)・白菜・キャベツ・もやし・なす・きゅうり・レタス・春雨・白飯・うどん・パン(食べすぎ注意)
- 野菜を小さく切る(表面積を増やす)
- たっぷりのお湯で5分以上茹でる
- 茹で汁を捨て、水にさらす(10分以上)
- これだけでカリウムが30〜50%カットできます
※ 電子レンジ加熱ではカリウムは減りません。必ず茹でてください
リンが溜まると骨からカルシウムが溶け出し骨折しやすくなります。また血管が石灰化して心臓にも悪影響を与えます。
肉全般・魚全般・牛乳・チーズ・ヨーグルト・豆腐・納豆・卵・チョコレート・コーラ(リン酸添加物)・加工食品全般
- 1日の摂取量の目安は体重(kg)×0.6〜0.8g(体重60kgなら36〜48g)
- 肉より魚の方がリンとタンパクのバランスが良い
- 牛乳よりも豆乳の方がリンが少ない
- 卵は1日1個まで。卵白はリンが少なめなので比較的◎
腎臓病では塩分が排出できず、むくみ・高血圧・心不全につながります。目標は1日3〜6g。病期によっては3g以下のこともあります。
透析前の方は医師の指示に従って制限します。「尿量+500mL」が目安になることが多いですが、必ず主治医に確認してください。
- みそ汁・スープは汁を飲まず具だけ食べる
- ゼリーや寒天も水分としてカウントする
- コーヒー・お茶もカリウムを含むので量に注意
腎臓病でタンパク質を制限するとエネルギー不足になりがちです。体がタンパク質をエネルギーとして燃やし始め、筋肉が落ちたり腎臓に悪影響を与えます。糖質・油でしっかりカロリーを補いましょう。
- 白飯・うどん・春雨・くずきり:カリウム・リンが少ない主食の優等生
- 砂糖・はちみつ:タンパク質ゼロのエネルギー源
- 植物油(オリーブオイル等):タンパク・カリウム・リンを含まない
- でんぷん製品(はるさめ・くずもち):低タンパクで腎臓に優しい
- 医療用の低タンパク米・低タンパクパンも活用を(処方可能な場合あり)
※ステージや体格によって大きく異なります。あくまで参考値です。
| 栄養素 | 心臓病 | 腎臓病 |
|---|---|---|
| 🧂 塩分 | 6g未満 | 3〜6g |
| 🍌 カリウム | 制限なし | 1500mg以下 |
| 🦴 リン | 制限なし | 600mg以下 |
| 🥩 タンパク質 | 適量 | 体重×0.6〜0.8g |
| 🔥 カロリー | 適正体重維持 | 体重×25〜35kcal |
| 💧 水分 | 適量 | 要医師確認 |
- 醤油 大さじ1杯 = 塩分約2.6g
- みそ汁 1杯(汁ごと)= 塩分約1.5g
- 梅干し 1個 = 塩分約2g
- カップラーメン 1個 = 塩分約5〜7g(これだけで1日分!)
- 食パン 1枚 = 塩分約0.8g
- だしをしっかり取る:昆布・かつお・煮干しのだしが効いていると少ない塩分でも美味しく感じられる
- 酸味を活用:レモン・酢・ゆずを使うと塩分少なくても味が締まる
- 香辛料を使う:こしょう・わさび・生姜・にんにく・七味で風味を出す
- 片側だけ味をつける:魚や肉の片面だけに塩・醤油をつけると全体につけた気分になれる
- 醤油は最後に少し:料理中に使わず、食べる直前に少量だけかける
- 汁物は飲まない:具だけ食べて汁は残す。これだけで塩分が半減
- 小さく切ってからゆでる:切り目が多いほどカリウムが水に溶け出す
- ゆで汁は捨てる:ゆで汁にカリウムが溶けているので絶対に使わない
- 水にさらす:ゆでた後に水に10〜15分さらすと更に効果的
- 冷凍野菜はNG:解凍時に細胞が壊れ、カリウムが出やすい状態になっている(ゆでこぼしは有効)
- 果物はよく冷やす:温かい状態より吸収が穏やか(効果は限定的だが)
- ラーメン・うどんの汁は飲まない(汁に塩分の7割が入っている)
- 定食系より丼系は塩分多め。定食でご飯・みそ汁を調整する方がコントロールしやすい
- 「醤油少なめ・ソースなし」でオーダーする習慣を
- 寿司は醤油をつけすぎない。さっとつける程度に。軍艦巻きは特に注意
- サラダのドレッシングは別添えにしてもらい少量だけかける
- カレーやシチューはルーに塩分・リンが多い。頻繁な外食は控えめに
- 加工食品は栄養成分表示の「食塩相当量」を必ず確認する
- 「減塩」と書いてあっても他の製品より多い場合があるので数値を見る
- 原材料に「リン酸」(リン酸塩、ポリリン酸等)が入っている加工食品は腎臓病の方には不向き
- 「ナトリウム(mg)×2.54÷1000」で食塩相当量(g)が計算できる
- 急に体重が増えた(2〜3日で2kg以上)
- 足・顔がむくんでいる
- 少し動いただけで息切れ・動悸がする
- 夜中に咳が出て眠れない
- 横になると苦しくなる
- 胸が痛い・締め付けられる感じ
- 尿の量が急に減った・全く出なくなった
- 全身がむくんでいる(特に朝)
- 吐き気・食欲がない状態が続く
- 皮膚が異常にかゆい
- 脚がつる・しびれる(カリウム異常のサインの場合あり)
- 尿が泡立つ・血尿が続く
「救急安心センター事業(#7119)」は24時間、救急車を呼ぶべきか相談できる窓口です(自治体によって異なります)。迷ったら遠慮なく電話してください。